2013/07/31更新 |
7月24日に第428回福岡地区小児科医会学術講演会が開催されました |
一般演題:「小児腸管感染症の実態と治療の考え方」 特別演題:「小児気道感染症の治療」 小児科外来の大半を占める気道感染症治療についての実践的なお話がありました。薬物が有効かどうか(抗生物質の耐性)は変化していくものだし、地域の流行状況も考えねばならず、必ずしも治療法を講演のやり方に変える必要はないとのコメント後、講演会は始まりました。 いうまでもありませんが、気道感染症は大部分がウイルス性となります。チェックhMPVによるヒトメタニューモウイルス診断という選択枝が増えたことは有益で、従来の起因菌不明の入院肺炎のかなりの部分はヒトメタニューモウイルスだろうとのことでした。では、抗菌薬が必要な細菌性肺炎を疑う条件とは何でしょうか? 臨床的には、(1)鼻水がない、あるいは膿性、(2)急性期に咳・喘鳴がない、(3)発熱は急で高熱のことが多い、などが参考になります。とにかく胸部単純X線をとってみることが重要です。(1)聴診上異常がなくても熱源不明の発熱がある場合(鼻水がない場合は特に注意)、(2)熱がなくても咳が長引く場合、も単純X線をとってみる必要があります。 小児の場合は、CRP4mg/dl以上は細菌性、それ未満はウイルス性あるいはマイコプラズマ性と考えるのは、大きな誤りでないと考えます。特にマイコプラズマの場合は、比較的白血球低値(6000-8000)が診断の参考になります。 マイコプラズマは、2011年の流行時には90%近くがマクロライド系耐性になりました。診断の面でも、(1)イムノカードはあてにならない、(2)単血清で診断するには発症後10日前後が必要、(3)肺で増殖するため咽頭ぬぐい液で検出できなくても否定出来ない、(4)上咽頭で検出できても必ずしも現在の感染を示すとは限らない、などの問題があり、ペア血清で抗体価の上昇を確認することが唯一の確定診断といえます。 A群溶連菌の治療については、バナン、メイアクト 6-9mg/kg/日 分2×7日間をお勧めします。(1)マクロライドは2010-2011年で50%以上が耐性、(2)セフェム系はAMPCより理由は不明だが除菌率が良く、また常在菌に与える影響が少ない、(3) 分2の方がコンプライアンスが良い、(4)セフェム系5日間投与では、家族や周囲への潜伏感染者(2-5日間)から治療終了後に再感染をうけることが稀ではない、などを考慮しました。 |