2013/04/25更新 |
4月24日に第425回福岡地区小児科医会学術講演会が開催されました |
一般演題:「不活化ポリオワクチンの円滑な導入のための臨床研究」 特別講演:「ポリオとそのワクチンの変遷から今後の予防接種を考える」 昨年9月にポリオワクチンは、生ワクチンから不活化ワクチンに変更されました。ポリオワクチンの歴史的変遷をひも解くことは、他のワクチンの将来を占うことにもつながります。日本のポリオワクチンの第一人者から、ポリオワクチンに関する様々な話題が提供されました。 まず、ポリオワクチンの歴史が紹介されました。1955年から不活化ポリオワクチン、1958年からは生ポリオワクチンの本格的使用が開始されました。初期段階では、生ポリオワクチンの効果が明らかなため、世界のほとんどの国では生ポリオワクチンが採用されました。ただ、当初から生きている生ポリオワクチンからのポリオ麻痺の発生が危惧されていました。 日本では、ピークの1960年には6000名近い患者さんにポリオ麻痺が発生していました。世論の高まりもあり、1961年に生ポリオワクチンが緊急輸入され、効果は圧倒的でポリオ麻痺は年間数名のレベルまで激減しました。1980年の患者さんを最後に日本ではポリオは見られなくなりました。 また、世界的には1988年にWHOが世界ポリオ根絶計画を発表しました。当時はポリオ常在国は125カ国、ポリオ患者は35万人でした。以後、ポリオワクチンの普及とともにポリオ麻痺は着々と減っていき、2012年にはポリオ常在国は3カ国、ポリオ麻痺患者は222人までになりました。 しかし、今度は生ポリオワクチンによるポリオ麻痺が問題になってきました。先進国では、ポリオ麻痺を引き起こさない不活化ワクチンが主流となり、早い国では20年前から切り替えが始まりました。 今後は、(1)四種混合にさらにHibワクチンを加えた多価ワクチンの開発、(2)世界のほとんどの国で実施されている4歳以降での不活化ポリオワクチンの追加接種を日本でどうするのか、などの課題があります。 |