ヒトメタニューモウイルス感染症



概要

  • ヒトメタニューモウイルス感染症はかぜのひとつですが、高熱やひどい咳が続いたり、肺炎になったりすることがあります。


原因

  • ヒトメタニューモウイルス(human metapneumo virus)が原因で、hMPVとも略されます。主に2月~6月に流行します。
  • ウイルス性呼吸器感染症の中で、子どもの5~10%、大人の2~4%はhMPVが原因です。
  • 母親からの免疫(移行抗体)が切れる生後6カ月くらいからかかり始めます。2歳までに50%の子はかかってしまいます。
  • 1回の感染では完全に免疫が出来ないため、くり返しかかることもあります。何度かかかり、年齢が上がる内に症状が軽くなっていくようです。
  • 咳やくしゃみが飛び散り、それを吸い込んで感染したり(飛沫感染)、鼻粘膜へのウイルスの直接接触で感染(接触感染)します。


症状

  • 咳や鼻水や熱が主な症状です。咳は1週間程度、熱は平均2~3日、長いと5日程度続きます。悪化するとゼーゼー・ヒューヒューする呼吸が始まることもあります(細気管支炎)
  • 特に、1歳以下のこどもでは症状が強く出やく、年長になると症状が軽い場合が多いです。
  • 肺炎になってしまうこともあり、胸のレントゲンを撮る場合があります。
  • RSウイルス感染症も同じ様な症状が出て、診断キットなどで見分けをつけます。


診断

  • 主に春先に発熱に加え、咳がひどく、ゼーゼーする場合は、RSウイルス感染症とともにヒトメタニューモウイルスが疑われます。RSウイルスは0~1歳台で診断されることが多く、ヒトメタニューモウイルスはもう少し年長で1~5歳台で診断されることが多いです。
  • 鼻腔をぬぐった綿棒で迅速診断キットで診断することが出来ます。


治療

  • ウイルス自体に効く特殊な治療薬はなく、症状に応じた対症療法を行います。
  • 咳がひどくなることが多いため、痰の切れをよくする薬の内服に加え、気管支拡張薬を吸入する治療などを行います。
  • 全身の状態が悪かったり、肺炎を合併して入院治療が必要なこともあります。入院しても特殊な治療薬はなく、点滴をしたりして体調が回復するのを待ちます。
  • 発熱が続く場合などは、抗生剤が必要な細菌感染症を合併している場合もあります。


合併症

  • 細気管支炎:
    気管の末梢の細気管支まで炎症がおよんだ状態です。呼吸が苦しくなり、息を吐く時を中心にゼーゼー、ヒューヒューと聞こえます。また咳もひどくなります。