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RSウイルス感染症
概要
RSウイルス感染症はかぜのひとつですが、高熱やひどい咳が続いたり、息がゼーゼーしてこどもが苦しむことがあります。
原因
主に11月以降の冬期に流行する、ウイルス性のかぜです。RSは原因となる
R
espiratory
S
yncytial virusの頭文字を略したものです。
2~3歳までに、ほぼ100%のこどもが一度はかかり
、また完全に免疫が出来ないため、くり返しかかることもあります。
母親からうけつぐ免疫も完全でないため、新生児でもかかることがあります。
患者の咳やくしゃみが飛び散り、それを吸い込んで感染したり(飛沫感染)、鼻粘膜へのウイルスの直接接触で感染します。
症状
4~5日の潜伏期間の後に咳や鼻水や熱の症状が始まり、
ゼーゼーする呼吸が始まることもあります(細気管支炎)。
特に、1歳以下のこどもでは症状が強く出やく
、年長になると症状が軽い場合が多いです。
先天性の心臓病を持つこどもは、感染するとしばしば重症化することがあります。
生後1カ月未満では無呼吸発作が主な症状になり、突然死の原因になることがあります。
早産未熟児が感染した時に無呼吸発作がおこるリスクが高くなります
。
診断
冬期に発熱に加え、咳がひどく、ゼーゼーする場合はRSウイルス感染症が疑われます。
鼻腔をぬぐった綿棒や、鼻水を吸引した検体を使い、迅速診断キットで診断することが出来ます。
治療
ウイルス自体に効く特殊な治療薬はなく、症状に応じた対症療法を行います
。
咳がひどくなることが多いため、痰の切れをよくする薬の内服に加え、気管支拡張薬を吸入する治療などを行います。
全身の状態が悪かったり、肺炎を合併して入院治療が必要なこともあります。入院しても特殊な治療薬はなく、点滴をしたりして体調が回復するのを待ちます。
未熟児や心臓病のあるこどもは重症化するリスクが高いため、RSウイルスをブロックする特殊な注射薬(パリビズマブ[シナジス])を冬の間1カ月おきに筋肉注射して予防します。
合併症
細気管支炎:
気管の末梢の細気管支まで炎症がおよんだ状態です。呼吸が苦しくなり、息を吐く時を中心にゼーゼー、ヒューヒューと聞こえます。また咳もひどくなります。
先天性心疾患をもつこどもでは、呼吸困難が重症となり、時に人工呼吸器での治療が必要になる場合があります。