りんご病(伝染性紅斑)



概要

  • 両頬に赤い発疹が出来るため「りんご病」とよばれますが、正式には伝染性紅斑といいます。
  • ウイルス感染によっておこり、風邪と同じような症状の後に、ほっぺたが赤くなります。
  • 感染性があり、小学生で春に流行することが多いです。しかし、ほっぺたが赤くなって診断がつく頃には、もう感染性はありません。
  • 症状がでても、特別な治療は必要としません。


原因

  • ヒトパルボウイルスB19ウイルスが原因となり、患者の咳やくしゃみで飛び散り、それを吸い込んで感染します(飛沫感染)。
  • 感染してから、発症するまでの潜伏期間は、4~28日と幅がありますが、平均16~17日です。


症状

  • 前駆症状:
    ウイルスが感染すると、潜伏期間を経て、その後軽い風邪の症状や微熱がみられます。感染性があるのはこの時期です。伝染力は比較的弱く、集団では未感染者の約半分が感染する程度です。
  • 紅斑の出現:
    前駆症状に続いて、特徴的な発疹が現れますが、この時期にはもう感染性はありません。
  • 両頬に紅斑がみられ、熱感(ほてり)がありますが、おしたときの痛みはありません。その後腕や太ももにも発疹がでます。腕や足の発疹は最初はプツプツした発疹ですが、そのうち広がって他の発疹とくっついて真ん中が薄く周りを赤くふちどったレース様になるのが特徴です。手の平や足の裏には発疹はみられません。体幹部・首・おしりにも発疹がみられることがあります。
  • レース様の発疹は1~2日消えていきます。


治療

  • 特別な治療薬はありません。1週間~10日くらいで自然に治ります。
  • 発疹のでる1週間くらい前から感染力があり、発疹が出る頃には感染性はないので、隔離する意味はありません。


合併症

  • 血液の病気をもっていると急に強い貧血がきたり、妊婦が感染すると流早産を起こす事があり注意が必要です。


詳細な解説



りんご病(伝染性紅斑)

  • パルボウイルス科はヒトに感染する最小のウイルスです。そのうちパルボウイルスB19がりんご病(伝染性紅斑)の原因となります。
  • このウイルスは、赤血球系の前駆細胞(前正赤芽球)に、主に感染を起こし、一時的な赤血球の産生抑制を引き起こします。
  • りんご病の好発年齢は、4~10歳で春に流行することが多く、また数年ごとに流行がみられます。学童で流行した場合、症状がはっきりする頃にはもう感染性はないため、登校停止にする必要はありません。
  • 症状に気づかないうちに感染している(不顕性感染)ことも多く、一度感染すると一生かからなくなります(終生免疫)。
  • 主な合併症としては、関節炎をおこして肘や足の関節が痛んだり、一時的に点状出血や斑状出血がでる紫斑病を起こすことがあります。
  • もともと慢性溶血性貧血(鎌状赤血球症、遺伝性球状赤血球症、サラセミアなど)をもっている患者さんの場合は、急激に貧血が進行する合併症をおこすことがあります。
  • また妊婦で感染を起こすと、胎児に血行性感染をおこし、胎児死亡や胎児水腫を引き起こす事があります。胎児水腫は、感染を起こした胎児が高度の貧血や心筋炎をおこし、全身がダルマのように浮腫状となって生まれてくる病気です。