麻疹(はしか)



概要

  • 麻疹ウイルスの飛沫感染によりおこる、感染力が強くて重い病気です。
  • 潜伏期は10~12日間ぐらいです。
  • 初めは風邪と同じ症状で始まりますが、3~4日してはしかの発疹が出始めます。
  • 昔は子どもの病気でしたが、麻疹ワクチンを1回しかしていない若年青年が、海外から入ってきた麻疹にかかるケースが最近では多くなっています。


症状と経過

  • 38度以上の高熱が2~3日続き、咳、鼻水など風邪と同じ症状がでます。
  • はしかとの接触が明らかでない場合は、お医者さんにかかっても、最初は風邪と診断されます。
  • 途中から、目ヤニや結膜充血が起こることもよくあります。
  • 発熱後2~3日すると、口のなか(頬の内側)に、塩をまぶしたような白い斑点(コプリック斑)が出きてきます。
  • その後、全身に発疹が現れます。最初は3-4mmのやや盛り上がった赤い発疹ですが、次第に斑状に大きくなり隣の発疹とくっついていきます。
  • 発疹が現れてからも、さらに4~5日高熱が続きます。
  • 発疹は4~5日たつと、暗赤色~茶褐色に変わってきて、茶色の色素沈着を残します。それから1ヶ月以内に完全に消えます。
  • 発病前3~4日から発疹出現後2~3日にかけては、感染性があります。咳のしぶきを吸い込むことで感染します(飛沫感染)。


合併症

  • 中耳炎・肺炎を、時々起こします。
  • 稀に脳炎(けいれん・意識障害)など重い合併症を起こします(日本を含め、世界でも死亡者が多く出ています)。
  • はしかに効く薬はないので、食欲がなければ点滴をするなど、症状を和らげる治療(対症療法)を行います。
  • 中耳炎や肺炎などの二次感染を起こした場合は、さらに抗生剤を使います。


予防接種

  • はしかは、子どもにとっては大変な病気です。
  • 根本的な治療法がなく、伝染力の強い病気ですから、予防接種がとても大切です。
  • 標準年齢は1歳~2歳未満ですが、1歳になったら、なるべく早く接種しましょう。2回目は年長さんの時期に接種します(風疹との混合ワクチンでの接種になります)。
  • 接種後に、はしかと接触することなく数年以上経過すると、予防接種をやっていても、はしかにかかってしまうことがあります(修飾麻疹)。
  • はしかのワクチンは生ワクチンといい、弱毒化したはしかの軽い感染を起こすことにより免疫をつけます。
  • そのため接種後1週間ぐらいして、発熱や発疹などの軽いはしかに似た症状を起こす子どもが、まれにみられます。
  • <はしかと接触した場合>
    • はしかの子どもに接触して3日(72時間)以内ならば、予防接種ではしかの発症をかなり防ぐことが出来ます。
    • ただし、家族にはしかが出た場合は、診断がついた時点ですでに接触後3日以上たっていると考えられます。この場合は、接触から5日以内に、ガンマグロブリンを筋肉注射すると、かからないで済んだり、軽く済んだりします。
    • ガンマグロブリンは血液から作られた薬(血液製剤)です。はしかで重症化する可能性と、ガンマグロブリンの副作用の可能性を、よくお医者さんと相談してから、使うかどうか決めるようにして下さい。