熱性けいれん



概要

  • 主に2歳以下の子供でおこり、38度以上の熱が急に出た時に、けいれんを起こし意識を失います。
  • けいれんを起こした後、発熱に気づくこともあります。
  • 7~8%の子供にみられ、そのうちの40%程度は、何度か繰り返します。


原因

  • 脳の発達が未熟なことと、一部遺伝的な素質により起こります。


症状

  • 両方の手足をピーンと硬くつっぱった後、両手・両足をガクガクふるわせます。
  • 黒目が上にあがって白目をむき、唇が紫色になることもあります。
  • 意識がなく、名前を呼んでも反応がありません。
  • 通常の熱性けいれんでは、ほとんど2~3分で、この発作はおさまります。


治療

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  • けいれん発作自体が生命にかかわることは、まずありません。
  • けいれんの状態を観察し、衣服をゆるめて、持続している時間を計ります。頭部を横にむけて誤飲(吐いたものを気管に飲み込んでしまう事)をふせぎます。口の中にものをつっこむのは、かえって危険ですからやめて下さい。
  • 熱がさして高くないのにけいれんが起こった場合でも、1時間のうちに熱が出てきたら、熱性けいれんと考えてよいでしょう。
  • 何度も熱性けいれんを繰り返す場合は、発熱した時に、解熱剤とともに抗けいれん剤(ダイアップ坐薬など)を使って、けいれんを予防した方がよいでしょう。
  • 年齢が上がるにつれて、熱性けいれんは次第におこさなくなっていきます。
  • 次のようなけいれんは、てんかんの発作だったり、後でてんかんが発症する可能性があります。できるだけ早く受診しましょう。

    (1)けいれん発作が15分以上続く場合
    (2)けいれんの強さや目の向き、頭の向きに左右差がみられたり、身体の一部だけにけいれんが起こったりする場合
    (3) 一日に何回もけいれんを繰り返す場合


詳細な解説



熱性痙攣

  • 乳幼児(主に1歳台)では、発熱に伴ってけいれんをおこすことがあり、これを熱性けいれんといいます。
  • 代表的な症状は、急に熱が上昇する時に、呼びかけに答えなくなって、眼球が上を向き、意識をなくして倒れて手足をガクガクさせます。唇や顔色が真っ青になることもあります。
  • けいれんはほとんどは2-3分で自然に止まり、その後泣き始めて意識が正常に戻っていきます。軽い症状では、よだれを流して意識だけが一瞬低下する場合や、また重積といってけいれんが自然に止まらず、注射薬を使ってやっと止まる場合もあります。
  • 日本人では7-8%、つまり15人に1人程度におこるといわれています。そのうち40%程度は、熱性けいれんを2回以上繰り返します。
  • 原因として、乳幼児の脳の発達が未熟であるという理由があげられますが、かなり漠然とした概念です。また、親に熱性けいれんがあると、子供にもおこりやすいという遺伝性が以前から知られており、この点については、遺伝子異常の研究がすすみつつあります。イオンチャンネルという構造の異常が関係していると推定されています。
  • 熱性けいれんを起こした場合に家庭で出来ることは、頭部を横にむけて誤飲(吐いたものを気管に飲み込んでしまう事)をふせぐことです。口の中に物をつっこむのは、かえって危険なのでしないようにして下さい。
  • 初めての熱性けいれんや、5分近くなっても自然にけいれんが止まる様子がない場合は、救急車で病院に受診した方がよいでしょう。
  • 最も気をつけるべき点は、熱のけいれんが熱性けいれんではなく、髄膜炎や脳炎の始まりの症状である場合です。嘔吐、頭痛、項部硬直(首が硬く前に曲がらず痛みがある)、けいれんが止まりにくかったり、短時間で繰り返す、意識がなかなか元にもどらない時は、要注意です。
  • 他の問題としては、熱性けいれんの一部に、てんかんという治療が必要な病気が混ざっている点です。
  • てんかんは、やはり発作的に、けいれんや意識消失をおこしますが、熱を伴わず、また乳幼児に限りません。熱性けいれんのなかで、てんかんに気をつけるべき因子として、(1)熱性けいれん発症前の明らかな神経学的異常もしくは発達遅滞、 (2)非定型発作(i:部分発作、ii:発作の持続が15~20分以上、iii:24時間以内の繰り返し、のいずれか1つ以上)、 (3)両親・同胞におけるてんかんの家族歴 、があげられます。もちろん、これがあれば即てんかんというわけではありません。
  • ほとんどの熱性けいれんでは、熱の始まりに抗けいれん剤であるジアゼパム座剤(ダイアップ)を使用して、けいれんが起こるのを予防するだけで十分です。年齢が進むにつれて、自然に熱性けいれんを起こさないようになってきます。