髄膜炎



概要

  • 脳、脊髄の周囲は、何枚かの膜と髄液でおおわれており、これを髄膜といいます。細菌やウイルスが髄膜に達して炎症を起こす病気を髄膜炎といいます。
  • 脳や脊髄には、病原菌が入り込みにくい仕組みがありますが、そのバリアーが突破されてしまうと髄膜炎になります。髄膜炎は重症の感染症で、特に細菌によるものは最も重症な感染症のひとつです。
  • 原因となる細菌やウイルスは、通常はどこにでもいる風邪などを起こす菌になります。

image

原因 と 症状

  • 年齢によって、起こしやすい細菌の種類は違いますが、肺炎球菌やインフルエンザ桿菌(冬に流行するインフルエンザウイルスとは別物です。風邪症状をおこす細菌です)などが代表的です。
  • ほとんどの場合、病原菌は血液によって髄液に運ばれますが、まれに中耳炎や副鼻腔炎などから直接髄液に感染が広がることもあります。
  • ウイルス性のものでは、夏風邪のコクサッキーウイルス、エコーウイルスや、おたふくかぜのムンプスウイルスなどが代表的です。
  • 症状は、熱、嘔吐、頭痛が特徴的です。
  • 発熱…高い熱がありひどくぐずって、おっぱいやミルクを飲まなくなくなります。
  • 嘔吐…嘔吐を繰り返します。
  • 頭痛…少し大きくなった子供の場合は「頭が痛い」と訴えます。
  • 髄膜刺激症状…首がつっぱってくるので、仰向けに寝かせた時に首を起こそうとすると、激しく泣くことがあります。大きい子供では、首を前に曲げようとすると、首の後ろを痛がり、うまく曲がりません。
  • その他、赤ちゃんでは大泉門が盛り上がったり、痙攣を起こし意識がなくなったりすることもあります。
    (※大泉門-赤ちゃんの頭の上の、頭蓋骨の隙間があいている所)


診断 と 治療

  • 髄液をとって検査をします。細菌性髄膜炎の場合は、髄液の中の白血球(特に好中球という成分)が増え、髄液の糖の濃度が低下します。また原因となる細菌が、顕微鏡で認められます。
  • ウイルス性の場合は、顕微鏡で細菌が認められず、また白血球の成分でリンパ球が増えます。
  • 治療は、原因菌が細菌かウイルスかによって違ってきます。
  • 細菌性髄膜炎…抗生物質を静脈注射して治療しますが、症状を見逃さずなるべく早期に診断して治療を開始することが大切です。また髄液には抗生剤が届きにくいので、通常より大量・長期間の使用をします。
  • ウイルス性髄膜炎…症状を和らげるための治療(対症療法)を行います。熱が高いときは解熱剤で熱を下げたり、嘔吐が激しいときは点滴で脱水を予防することなどで、ほとんどは一週間程度でよくなります。
  • 細菌性の場合は、命に関わったり、発達の遅れや、水頭症、難聴などの重い後遺症が残ることがあります。
  • ウイルス性の場合は、生命の危険や後遺症はほとんどありませんが、乳児期にかかった場合は病気がなおった後も、発達の追跡が必要です。