お知らせ


2015/10/30更新

10月28日に第450回福岡地区小児科医会学術講演会が開催されました

pin一般演題:「福岡県小児等在宅医療連携拠点事業の取り組み ~福岡県の周産期・小児在宅医療の現状と展望」
九州大学病院総合周産期母子医療センター新生児内科部門 落合 正行先生


pin特別講演:「小児体液管理の変遷 ~現場で役立つ輸液・経口補水療法の実際~」
聖マリア病院 医師臨床・教育・研究本部新専門医制度対策チーム専攻医指導部長 靏 知光先生


pin周術期の輸液管理、小児急性胃腸炎の経口補水(ORS)療法、急性虫垂炎の最近の話題に関して、聖マリア病院の靏先生からご講演いただきました。靏先生は小児外科医ですが、小児救急医学会の、小児急性胃腸炎診療ガイドライン作成ワーキンググループ座長もされています。


pin従来周術期の輸液は1号輸液で行われるのが慣習でしたが、近年等張液輸液と比較して低ナトリウム血症を起こしやすいとのエビデンスが集積してきました。聖マリア病院では数年前から全て等張液であるフィジオ140で輸液管理を行っているそうです。また、術前6時間前から絶飲食にする習慣もありましたが、これは欧米の常識と異なるものでした。聖マリア病院ではこの点も見直し、術前2時間前まで自由にORS飲水可としました。絶飲食群と比較し、血中ケトン体、尿比重、FENaに有意差があり、一番の利点としては点滴の入りやすさに有意差がありました。ただ1~3歳はORSを飲んでくれない場合も多く、少しずつ飲ませる、ストローを使ってみる、いつも使っているマグカップを持参させる、ORSを暖めてみる、ゼリータイプを使ってみる、などの工夫も必要です。


pin現在、小児急性胃腸炎診療ガイドラインを作成中で、近日中に小児救急医学会のホームページで公開予定です。全17のCQ(clinical question)から構成されており、いくつかを提示します。
CQ6:脱水のない、もしくは中等症以下の脱水のある小児急性胃腸炎に対する初期治療としてORS療法は推奨されるか?
→→エビデンスレベル1-Aで推奨されます。嘔吐、下痢が始まったら速やかに自宅で開始する事が推奨されます。今後の課題としては、WHOではNa濃度 75mmol/Lを推奨していますが、本邦ではT2顆粒で60mmol/L、OS-1で50mmol/L、他の市販品ではさらに低いものもあり、飲みやすさも含めて検討が必要です。


pinCQ15:急性胃腸炎の小児に対して、以下の薬剤は有効か?
CQ15-1:整腸剤 Probiotics
→→下痢の期間を短縮するエビデンスはあり、推奨度2-B。ただし日本の製剤には、エビデンスのある菌種は含まれておらず、菌量も少なく、今後の検討が必要です。


pinCQ16:小児の急性胃腸炎発症抑制に対してロタウイルスワクチン接種は有効か?
→→エビデンス1-Aで推奨されます。


pin最後に急性虫垂炎の話題も出ました。近年の、画像診断技術の向上、抗生剤の進歩、腹腔鏡手術の導入によって急性期には手術を行わず、保存的治療を行い腹腔内の炎症を沈静化した後、待機的に虫垂炎手術を施行するInterval Appendectomy(IA)が行われるようになってきました。聖マリア病院でも積極的にIAを導入しているそうです。