お知らせ


2013/01/24更新

1月23日に第422回福岡地区小児科医会学術講演会が開催されました

pin一般演題:小児期Fabry病に対する酵素補充療法の有効性
 講師:石崎 義人先生(九州大学医学部小児科(成長発達分野))


pin特別講演:ファブリー病の診断と治療
 講師:大橋 十也 先生(東京慈恵会医科大学 DNA医学研究所)


pin代謝異常症のひとつである、Fabry病に関する講演が行われました。


pinFabry病は、国が難病(特定疾患)に指定しているライソゾーム病のひとつです。
ライソゾームとは、細胞内に多数存在する小器官で、そこでの酵素の働きにより、体に不要となった糖質、脂質、ムコ多糖などの物質が代謝されていきます。
 遺伝子に異常があり、ライソゾームの酵素の働きがなくなったり低下すると色々な不要物質が細胞にたまり、体に異常が起こります。


pinFabry病は、糖脂質の代謝に異常がある病気です。頻度は数千人に一人です。
 福岡県の場合は、新生児期に有料で行われている代謝スクリーニングで発見することが出来ます。


pinX連鎖性劣性遺伝という遺伝形式をとり、男の子が患者さんとなりますが、この病気の場合は保因者である女性にも軽い~重い症状が出るのが特徴です。
 また6%程度は、遺伝ではなく突然変異で起こります。


pin小学生くらいから、手足にピリピリする痛みが起こり、数分から数時間続きます。時には激痛となり、発熱、入浴、運動、ストレス、疲労などで、しばしば痛みは誘発されます。
他には、目の角膜の混濁や、皮膚に図のような被角血管腫という症状が現れます。
 年齢が進むと心臓が肥大して心臓の働きが悪くなったり、腎臓に影響が出て透析が必要になったり、脳梗塞を起こしたりします。
 小学生から症状があっても、症状が進んだ大人になってから診断がつく場合もしばしばあります。


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pin治療は、手足の痛みにはテグレトール(化学名:カルバマゼピン)の内服がよく効きます。
不足している酵素を点滴で補充する治療法もあり、生活の質(QOL)の改善が望めます。