起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation,OD)



概要

  • ヒトの血圧や脈拍、胃腸の動きなどは、自律神経という仕組みにより無意識に自動的に制御されています。
  • 起立性調節障害は、自律神経の調節力が弱いためにおこる、自律神経失調症のひとつです。
  • 代表的な症状は、立ちくらみ、立っていると気持ち悪くなりひどいと倒れる(いわゆる脳貧血)、朝起きが悪いなどです。
  • 朝起きが悪く、体調不良となるため、不登校を合併することもしばしばあります。


原因

  • ヒトの血圧や脈拍、胃腸の動きなどは、自律神経という仕組みにより自動的に制御されます。
  • 自律神経には、主に活動時に活発になる交感神経系と、休憩時にメインの働きをする副交感神経系があります。例えば、運動をすると交感神経が働いて自動的に心臓の拍動が速くなり、休憩すると副交感神経が働き始め、拍動はゆっくりになっていきます。血圧や胃腸の動きなどもこれらの神経系により、環境に合わせて自動的に調節されています。
  • 自律神経の調節能力が弱い人では、自律神経失調の症状が色々と現れます。
  • 例えば、ずっと立ち続けていると頭の血が下に下がり、脳が貧血状態になってしまうため、自律神経は下半身の血管を収縮させて、血液が下半身に集中しないように調節します。自律神経の調節力が弱いと、血液が下半身に集中してしまい、脳貧血状態となり、ひどいと倒れてしまいます(いわゆる脳貧血。血液が普通より薄い本当の貧血というわけではありません)。
  • 子供の場合は小学校高学年以降の思春期に自律神経失調症状が現れやすく、起立性調節障害と呼ばれます。
  • 遺伝性もあり、両親のいずれかに同じような症状があることも多いです。


症状 と 治療

    診断

  • 診断基準に示す症状がいくつあるかを参考にします。
  • 簡単な客観的検査としては、起立試験があります。10分間臥位で寝かした後に起立させ、心拍数と血圧の変化を測定して、自律神経の調節力をみるものです。症状が強い場合は、起立後にふらついて倒れることもしばしばあります。
  • 以上を総合して、また、その他の病気がないか除外していき、診断をつけていきます。
  • 学問的には、1.起立直後性低血圧(血圧の回復に25秒以上要する) 、 2.体位性頻脈症候群(血圧は正常だが、脈拍が起立時に35以上増える)、 3.神経調節性失神(意識消失などの発作がおきる) 、 4.遷延性起立性低血圧(起立後、3分~10分ほどして血圧が寝ている時の15%以上低下する) の4タイプに、細かく分類されます。また、 ヘッドアップティルト試験という検査を行います。

    治療

  • 軽目の運動を普段から心がけ、また夜ふかしをしない規則正しい生活をするようにします。
  • 循環血液量を増やすため、水分や塩分は少し多めにとりましょう。
  • 立ちくらみが強い場合は、普段から急に立ち上がらないように気をつけ、気持ちが悪くなるようなら早めにしゃがむようにします。
  • 起立時に倒れる場合や、朝起きが悪く日常生活に支障が強い場合は、薬を併用することもあります。
  • 薬物には、血管を収縮させ血圧低下を防ぐものが使用され、メトリジン、リズミックなどがあります。
  • 起立性調節障害と不登校が合併したり、心理社会的ストレスが症状を悪化させている場合もあります。この場合はカウンセリングが必要になります。
  • 成人になるにつれ症状が軽くなることは多いですが、そのまま症状を持ち越す場合もあります。


診断基準

大症状

A.立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい。
B.立っていると気持ち悪くなる、ひどいと倒れる。
C.入浴時、あるいはいやなことを見聞きすると気持ちが悪くなる。
D.少し動くと動悸、あるいは息切れがする。
E.朝起きが悪く、午前中調子が悪い。

小症状

a.顔色が青白い。
b.食欲不振
c.臍疝痛(強い腹痛)
d.倦怠あるいは疲れやすい。
e.頭痛。
f.乗り物酔い。
g.起立試験による脈圧の狭小化(16mmHg以上)。
h.起立試験で、収縮時血圧が安静時より21mmHg以上低下する。
I.起立試験で脈拍数が1分間あたり21以上増える。
j.起立試験で典型的な心電図がみられる。

pin大症状が3つか大症状2+小症状1、または大症状1+小症状3以上で、器質性の心臓病や貧血などがなければ、ODと診断する。