おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)



概要

  • ムンプスウイルスによる感染症で、主な症状は熱と耳下腺の腫れですが、無熱のこともあります。
  • ムンプスウイルスが患者の咳やくしゃみで飛び散り、それを吸い込んで(飛沫感染)うつります。
  • 感染してから発症するまでの期間は、2~3週間です。
  • 感染させやすい時期は、耳下腺がはれる3日前から発病後4日くらいです。
  • 症状が出ない不顕性感染が30~40%みられます。

image

症状と経過

  • 耳の下から頬、あごなどが腫れて押すと痛みます。耳の下にあって唾液を出している耳下腺が腫れるのがふつうです。
  • まず片方が腫れ、2~3日してもう片方が腫れてくる場合が全体の75%で、残りの25%くらいは片方だけが腫れます。
  • 耳下腺の腫れと同時に、半数ぐらいに発熱がみられます。3日目くらいが、腫れも熱も最大です。その後、3日から1週間くらいで治ります。


合併症と治療

  • 無菌性髄膜炎をしばしば起こし、髄液異常を60%以上に認めた報告もあります。ただし、入院加療が必要になるような髄膜炎は稀です。
  • まれに、難聴を起こします(300人~1000人に1人)。片耳が完全に聞こえなくなるというパターンが多いです。反対の耳は聞こえるため、幼少時にかかると数年気づかれないこともあります。いったん、おたふくかぜにかかってしまうと、難聴の発症を予防するいい方法はありません。
  • また成人では睾丸炎をしばしば合併し、腫れと痛みを伴いますが、不妊になることはまれです。
  • おたふくかぜに効く薬はないので、食欲がなければ点滴をするなど、症状を和らげる治療(対症療法)を行います。


予防注射

  • 1歳から注射できます。
  • かかりやすいのは、幼児期後半ですから、2~3歳までに接種するのがよいでしょう。または、幼稚園や保育園など集団生活に入る前が適切な時期です。
  • おたふくかぜにかからない予防効果は70~90%ですが、かかっても軽症で済みます。
  • 妊娠中のお母さんは、このワクチンはうけることはできません。また成人がワクチンをうけた後は、3カ月間避妊が必要です。
  • 海外では、予防効果がより高い2回接種が一般的です。1歳台と年長頃に受けるのがいいでしょう。
  • 予防接種をした後2週間くらいで、耳下腺が軽く腫れたり、微熱が出ることが時々みられます。