お知らせ


2013/11/29更新

11月27日に第431回福岡地区小児科医会学術講演会が開催されました

pinミニレクチャー:「マイコプラズマ肺炎・感染症を契機に腎機能障害を認めた3症例」
 檜山 麻衣子 先生(福岡赤十字病院小児科)


pin特別講演:「小児科医が知っておきたい子どもの歯と口の病気~その対応と予防について~」
 朝田 芳信 先生(鶴見大学(横浜市)歯学部小児歯科学講座 教授)


pin小児科医に必要な歯科的問題に関する講演が行われました。

 まず虫歯(齲歯)ですが、一人平均の虫歯は処置歯を含め約1.4本と10年前の半分以下に減っており、また軽症化しています。しかし有病者率は13歳以下で40%と依然高い状態です。下顎の第一大臼歯の虫歯率が高く、これは将来的に複数の歯の抜歯につながっていき好ましいことではありません。

 二極化してきているのも特徴で、家庭環境や地域格差、情報収集格差による有病者率の差が目立っています。低年齢児の歯肉炎も増加しており、将来の歯周病予備軍と考えられます。


pin歯の噛み合わせの悪さ(不正咬合)が増えています。歯が前後ガタガタに生える叢生(特に下顎)や上顎前突(出っ歯)などがあります。叢生は下顎の前方・側方への成長を促す第一大臼歯の噛み合わせが遅れることが原因になったりします。

 上顎前突は、舌の活動性が低下し舌のポジションが後方になると上顎口蓋が狭くなり、上顎の歯が斜めに生えてくるのが原因になったりします。また舌が底についた状態(低舌位)のくせがあると下顎の前歯が前方に押され、反対咬合(下顎の歯が上の歯より前方に位置する)になります。


pin離乳食~幼児食を進める際は、歯の生え具合をみることも大事になります。硬すぎる食事では丸呑みの習慣がつき、また硬いものを与えないと「噛まない子」になる可能性があります。例えば8~10カ月の前歯がはえる時期に歯の崩出を確かめずに硬すぎる離乳食をあげると、丸呑みの習慣がついたり舌の機能発達が悪くなります。


pin歯のすり減り(tooth wear)が増えています。もともと乳歯や幼弱永久歯は酸蝕に弱く、これに酸性飲料水の飲み過ぎが加わると歯の一部が溶けた酸蝕歯としてみつかります。雑な急ぎ磨きで歯に圧が加わり過ぎるのも原因になります。唾液は酸を緩衝し歯の再石灰化にも役立つので、よく噛んで唾液の分泌を促すのも重要です。


pin母乳を飲みながら寝てしまうと虫歯を引き起こす可能性があります。虫歯の原因菌になるミュータンス連鎖球菌が増加する19~31カ月に母乳育児を続ける場合は、歯の健康に十分留意する必要があります。