2013/09/30更新 |
9月25日に第429回福岡地区小児科医会学術講演会が開催されました |
一般演題:「新生児血小板減少症の1例~母体要因からの考察~」 特別演題:「血小板減少症:最近の知見」 血小板減少症の中で、診断、治療上の問題点が多いITPに関する最新知見が示されました。 ITPについては、日本では日本小児血液学会の診断基準(2004年)、成人では成人特発性血小板減少性紫斑病治療の参照ガイド(2012年)があります。欧米では、ITP の用語・定義や治療判定基準の国際標準化(2009年)、同診断と治療のコンセンサス(2010年)があります。 ITPの病因については確立されていませんが、T-cell・B-cell・網内系の免疫学的異常、慢性感染、遺伝素因がオーバーラップしたものと考えられています。必要な検査としては、感染症(H. pylori、HIVなど)、抗リン脂質抗体、血小板再生能を反映すると思われる幼若血小板比率(immature platelet fraction、IPF)、平均血小板容積(mean platelet volume、MPV)など重要となります。 治療の目標は血小板数を正常に戻すのでなく,出血症状の改善,重篤な出血の予防となります。 小児の治療は小児血液学会の診断基準(2004年)が現在でも適用されています。出血症状がある場合は免疫グロブリンや副腎皮質ステロイドのfirst line治療が行われているケースが多いと思われますが、頭蓋内出血などの重要な出血を抑制するというエビデンスはありません。小児の場合は脾摘の適用も難しく、また成人で成果をあげているトロンボポイエチン受容体作動薬の長期使用による骨髄への影響なども不明で、様々な問題点が残されています。 >小児の場合は先天異常の鑑別も重要となり、MYH9遺伝子異常症(May-Hegglin異常症)などがあります。治療に反応しないITPでは、診断の洗い直しが必要となり、MPVなどが参考になります。 |