2013/07/03更新 |
6月26日に第427回福岡地区小児科医会学術講演会が開催されました |
一般演題:「HPVワクチン~子宮頸がん予防の観点から~」 特別講演:「小児アレルギー疾患の変化と治療・管理~30年間の西日本疫学調査から~」 産婦人科医の立場から見た、子宮頸がんと子宮頸がんワクチンに関する講演がありました。 子宮頸がんは子宮の入り口付近に出来るがんで、日本では1年間に約1万5千人がかかり、約3500人が亡くなっています。つまり1日に約10人が亡くなっていることになります。子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因となります。 子宮頸がんには、扁平上皮がんと腺がんの2種類があります。特に腺がんが問題で、早期発見がむずかしく、進行も早いため、定期的にがん検診をしていても進行がんで見つかることもあります。また近年、腺がんが子宮頸がんに占める割合が増加しており、かっての数%から現在は20%超となっています。子宮頸がんになると、病期に応じて子宮全摘出などの治療を行います。しかし、前述のように日本では年間約3500人が亡くなっており、また手術がうまくいっても、排尿障害や脚のむくみ(リンパ浮腫)などの合併症で悩まされることになります。 子宮頸がんワクチンはHPVの中で発がん性が高い、HPV16型と18型の感染を予防するワクチンです。HPVにかかると頻度は低いもののがん化する恐れが誰にでもあります。性交渉の始まる年齢前にワクチンをうけHPV感染を防ぐことが、唯一の子宮頸がんに対する防御手段になります。 6月14日づけで厚生省は、子宮頸がんワクチンの勧奨はしないとの位置づけにし、副作用の調査をさらに進めるとしました。子宮頸がんの恐ろしさを知る産婦人科医の立場としては、世界120カ国で実績をあげつつある子宮頸がんワクチンが、日本で後退してしまうことが非常に危惧されるとのことです。 |