お知らせ


2013/03/04更新

2月28日に第423回福岡地区小児科医会学術講演会が開催されました

pin一般演題:「4種混合ワクチン(DPT-IPV):テトラビックについて」
 講師:園田 展弘 様 (一般財団法人阪大微研研究会 営業学術本部学術課)


pin特別講演:「水痘ワクチンuniversal immunizationの効果とわが国での導入に向けた試み」
 講師:古川 哲史 先生(藤田保健衛生大学医学部 小児科学教授)


pin主に冬から春にかけて流行する水痘(水ぼうそう)は、水痘帯状疱疹ウイルスが原因となります。このウイルスは体に侵入した後、2週間ぐらいの潜伏期間をおいて、発熱や全身の皮膚に水疱が出る症状を起こします。


pinその後1週間くらいで治癒していきますが、稀に、細菌による皮膚の二次感染症、脳炎/脳症、肺炎などの合併症を起こします。また、薬剤による癌の治療中など免疫力が極端に弱っている人がかかると重症化し、時に死にいたります。ウイルスは治癒後も、主に脊髄後根神経節という部分に潜伏感染を続け、免疫力が弱ったときなどに再活性化し帯状疱疹を起こします。帯状疱疹は、部分的に皮膚に痛みを伴う発疹が出現し、高齢者では治癒後も痛みが続いたりします。


pin水痘ワクチンによる予防が重要になりますが、日本での接種率はまだ低く、流行が続いています。米国では1996年から水痘ワクチンを積極的に接種し、現在90%程度の接種率です。


pin予防接種率が高い米国では、水痘患者の減少、水痘入院患者の減少、水痘による死亡の減少、ワクチン前の1歳以下の乳児水痘の減少、などの効果が確かめられています。


pinワクチン後、水痘に対する免疫力は徐々に低下していきますが、水痘の人に接触することで再び免疫力が上がり、かかりにくい状態が続きます(ブースター効果)。しかし、水痘の流行自体が減るとこのブースター効果がなくなり、のちのち水痘にかかる人が増えてきます。そのため、米国では水痘ワクチンを2回接種しており、2回接種の証明書がないと入学が出来ない州も多くなっています。


pin日本では水痘ワクチンは有料です。定期接種化されれば無料となり接種率が上がり、また副作用が起こった時の補償もしっかりします。現在、定期接種化を目指し基礎研究が行われています。2回目の接種時期はいつ頃がいいか、麻疹風疹ワクチンと同時接種した場合の効果や副作用の有無、などについて検討されており良好な結果が得られつつあります。